季節

             つい先ほどまでの 雑踏と喧騒から離れ
             家族との団欒も経て  
自分一人の時間に浸るとき
           その
生命のあり様は まるで七色の虹の輝きにも似て
           一切の
歓びや 苦痛や 怒り貪り嫉みや 汗とまでも
     
      瞬時
に変化していく
        この瞬間を 言葉に文字に そして色に 残せれば
   ・・・・・・      

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out1.gif (12942 バイト) 
                 きのうまでのすべてが  煩わしくなる
                 君の胸に   顔をうずめたくなる
                 恋したくなる       春になる

  
何があっても もう少し歩けそうな
   
冷たい風が そよ風に変わるのを 信じられそうで
   きっと そのうち 汗ばんでくることを  予感できそうな
  そんなときだろ、   
って。

 

 

                   陽光

                   今朝の陽光は 
                    自分だけにふり注ぐ
         
 
                      真新しい 白いスニ−カ−の紐を 結ぶ

 

 


厳冬の寒さを知ったものだけが
来るべき 春の暖かさを感じる。
人生も また。

 

このコ−ト

このコ−トは
君が選んだ
このコ−トは
君の香りがする

春が近いと
風が歌う


このコ−ト
脱ぎ捨てなくては

ありがとうって言って
好きだったんだよって

このコ−ト
脱ぎ捨てなくては

春が近いと
風が歌い始めたから

 

 

 

 

               ゆく春の 轍

   「古い船を 今 動かせるのは
          古い水夫じゃないだろう」
      -------- 
かって吉田拓郎が 謳った

       ならば まして 新しい船は動かせぬ

 

 


     筋肉の衰え 緩慢なからだの 全パ−ツ

    春の字は 青春の春

   時よ 止まれ
   時よ 戻れ    

ゆく春の 轍は  吾が涙の 降りし跡

 

 

 

 

   少女が 思わず

 いつの間にやら あたりは あお色に萌え
 まだつち色を残した田に 水が 注ぎ込まれる
 
     「さあ、準備は出来たぞ!」と 空に呼びかける
 
       そんな農夫の 額から 
                        今年初めての  透き通った汗
 

  あぜ道を 駆けていく少女が
                           思わずくちずさむ 春の詩 

                

 

 

                          少年の顔

      少年の顔になる。
       少女の声になる。
  
   いのちの ふくらむ 春がくるから。
    春よ、 来い。

 

 

 

 

 

 

Blumrbld.jpg (1538 バイト) 梅雨
    水色は涙色じゃなくて・・・・ 

 

 

          妖しい陽射し

                   妖しい陽射しと
      不気味なほどの空は
        明日からの
      おのれの   道程を  
        予感させる・・・・・梅雨の頃
 

 

 


陽ざしのせいでもないのに

  額と 首筋に  汗が吹き出す

  こうしているだけで  汗が吹き出す

よけいに

  強い太陽が   恋しい 

 

 

             6月

            水のはられた 田んぼの 真ん中で

            ふ-っと 息をはき 

                        少し背伸びをしたように見えた 農婦

               雨の降るのを 祈るのか     

               この陽射しを 感謝するのか

                    遠くの 僕には  わからない

            雨の降らない6月の 風景

 

6月 弐

  ぴったりと耳に押し当てた受話器から
 落ち着きはらった 君の声

 たった今やっと決めたはずの最初の言葉
 忘れるはずはないのに 声にならない

 あれから何年になる
 ここから何百キロになる
 
 そっと受話器を戻したのは
 君の幸せそうな声のせい?
 僕に未だ残る理性のせい?

 昨日から降り止まぬ雨

 君との最後の朝も
 こんな雨の日

 この季節は  嫌いだ


 

 

 

   君は天の川を渡ってくれ             
風がきこえる
  太陽がつきささる
若さも 恋の行方も、この季節でわかる。

5.gif (10994 バイト)

 

 突然の夕立に 
グロ−ブを頭に載せて走る野球少年達
白いブラウスが窮屈そうだった少女達
星の降る長い長い夜 
・・・・記憶の箱を占領する季節

 

 

 

         笑顔が見たくて

              海辺がいいか、

    いや、星降る夜空かな 

      それとも、テラスのあるスパゲテイ屋さんかも

    君の笑顔が見たくて 混乱を始める僕の「初夏の夜」

 

 

 

        

                                        苦手な夏

                           なんども 水を浴びようが

           木陰をさがして 休もうが

           火照るからだの 汗は止まらぬ


苦手な夏の 恋慕の情は

          静かに 燃やしつづけるだけでいい

          
そう  おまえなんかに

          真夏の 恋など 出来やしない

          真夏の 恋など 似合わない

 

 

 

 

                            君にとどけ

                          君の住む町の 空にとどけ

        眠る君の 夢の中にとどけ

        僕の胸中の 風も雲も太陽も

        今夜の 星屑となって

        眠りの中の  君にとどけ

 

          風鈴の中

               暑さから逃れようと
       部屋を閉めきり 暗くしたはず
       心を休めようと
       分厚い本を開いたはず

       それでも
       今朝の 君の姿が 僕に降り注ぐ
  
       甘いくちづけと
       髪の香りの余韻が
       今も この部屋にある

       涼しさを 買い求めるかのように
       ス−パ−で見つけた   風鈴
       これも 風でなく
       エアコンの勢いで 音を立てる
       いや 音を 奏でている

       そんな 風鈴の中に
       やっぱり 君がいる

       その風鈴を
       ひとりの少女が 持って走る去る
       それが君であればいい
       この暗さも
       この風も
       この音も
       君が作ったもの

       僕は
       甘酸っぱい 残り香だけを
       抱きしめているから

 

 

 

 

           夏の夜は 魔女がいい


      常連の お化けより 小悪魔がいい。
  ぞォ―っと、涼しくなるよりは 
     ヤキモキさせる魔女が好き。
  
     「お前さんは 何時休むんだ。」 
   「私に 眠りは不要です。」
  「どうして、ここに来たんだい。」 
   「貴方を 寝かさぬ仕事です。」
   
       小さな魔女に いろんな話をしていると、
       おやおや、魔女が居眠りを・・・
      そっと 額の汗を拭き、
       やさしく布団をかけてやる。と、
       「あっ」と声をあげ、
     眼を閉じたまま あどけない唇を 少しあけた。
      
      夏の夜は 魔女がいい。

   夏の夜は 魔女がいい。 

 

 

 

 

 

 

004.gif (6064 バイト)
すべてが、過去形になるとき
  
誰もが 哲学者になれるころ
淡く深まり変わりゆく まるで   恋に似ている

 

宴の後・・・、身を焦がした痕、・・・・・・

線香花火の 最後の雫が落ちた跡、・・・・

その時から、始まった刹那の季節

  ------ だから、よけいに 

いっぱいの想いが いのちに 刻まれていくようで…・・。

 

 

 

         宴・灼熱・花火の あとで


弾むような 恋心と

錯綜と 叫喚の 想いを

 

星と 風と  虫の声で

確かめておきたいんだ


秋がくるまえに


 

 

 

           朝の空気

物音が 昨日よりも はっきり聞こえる気がする

草や木が いつもより はっきり見える気がする


君の声も 顔も 息も はっきり分かる気がする


そんな 朝の空気は

近づく 秋の 精微さを 予感させる


そんな 朝の空気は

怠惰な自分を 覚醒させてくれそうな


そんな・・・  気がする 

 

       

 

 


                            過去形

  
  「そう、想ってたんだ。」

  「だって、一緒に走った…じゃないか。」

  「そうだっけ、オレ、そういった?」

       「あの頃はね。… 」

 
 ・・・・・・・・ 好きだった。

            なんでも、  過去形になる   今日。

        秋。

 

 

 

                  それでも    秋

   冷たさを 期待して 開けた蛇口から

  生ぬるい水が 出てきた時の ちいさな驚きと

  
  半そでと 長袖を 両方用意した昨日の夜を

  フッと笑うかのような 今朝の 強い陽射しと

  
  残り少ない 蚊取り線香を 半分に折って使う

  休日の午後と

  
  玄関に 置かれたままの 今年も また

  残ってしまった 花火セットと


  …… まだ暑い     

  それでも    秋

 

 

                          

                少年の心に 戻れた 夏。  

                         ----------------- 秋には 想い出せるのだろうか。

 

    

 

 

                                雲のかたち


       ほら 違うでしょう 昨日までとは

       君が  指さすほうに

       風と いっしょに流れる やさしそうな雲

          
        そうだね

        ・・・ ほんとは よく分からない

       昨日までは  

                              君の顔だけしか 見てなかったんだ

 

 

 

 

           
                              
夕焼け

 


           
こんなに 綺麗だったんだ・・・・  夕焼けって

           ・・・・・ うん

           そっと うつむいた後の 君は

           夕焼で 紅くなったのだろう 顔を 僕にむけながら  

           瞼を とじた 

            あっ ―――――――


                          ドラマチックな 季節の後は 

                        ―――――  きっと  ロマンチック  

    

 

 

    この雨は  僕が降らせた

   ほら ……  新しい 季節は

     こんなに 激しい 雨で始まる

     この  激しい 雨が 残照と残傷を

     洗い流してくれる

            
                雨上がりの道を 歩いてごらん

                消えぬ轍を 飛び越えてごらん

                  
               
    ほら ……  新しい 季節の到来を

     こんなに 激しい 雨が迎える

                   
                      
  ―――― 
この雨は  僕が降らせた

                君のために ……                     

                     

 

 

                 

      我が家は 小学校の校庭から 道一本隔てたところにある

 さきほどから 早いテンポの曲と 大人びたアナウンサ−の声が

 「体育祭」の空気を 届けてくれている

 聞こえてくる曲も 昔とは 違ってきているようだが

そのせいでは けっして ないのだろう  毎年 ドキドキしなくなる

         
自分の目指す ゴ−ルが 白い テ−プだと 見えている少年達が 羨ましい

わき目もふらず 必死の形相で ゴ−ルに 駆け込める 少年達が 羨ましい

必死の形相で ゴ−ルに 駆け込める 少年達が 羨ましい

            
            他人の目を 気にするようになりました

            嘘をつく   媚を売る   穏やかな顔を見せる

            全部 上手になりました

            そのかわり ゴ−ルの白いテ−プが 見つかりません

            その日から 必死で 駆けたりできません


            「記憶」に なった「運動会」……… やっぱり秋です

    

  中学生になると 「体育祭」と呼ぶようになった

  一番の関心事は 学年男女による フォ−クダンスで この演目

  文字通り 天下公認で 女生徒の 手を握れるという 当時の 一大事

  みんな 胸に秘めた 恋人達が 体をガチガチにして スキップしたんだ


            あの日 真っ赤な顔で 汗だくになった ダンス

            あの少年の日の ときめきは 何処にありますか


            あの少年の日の ときめきは いつ失いましたか


            「記憶」を たどる「運動会」 …… やっぱり秋です  

 

 

 

                      読書の秋

読み出せるのか
読み切れるのか
曖昧なはずなのに

どっさり 本を買ってきた
本当は こんなに読む気もないのに

君のことが 気がかりで
でも 忘れる為にも 買ってきた本
その中の一冊を 手にした 
瞬間

君のことを 思い出した 

 

ああ
読書の秋・・・って
こういうことなんだ

君が 恋しい

 

 

 

 

           もう一つ

      
            麦わら帽子… かき氷…  花火 …


            それに ―――

            もう一つが 何だったか

            思い出せないまま

            秋は

                            確実に やって来る

 

 

 

 

 

 

            風は ちょっと 冷たいほうが

     風が 冷たくるといい

      ちょっとだけ  寒く感じる夜がいい


      「寒くないかい。」

      君の手を しっかり握れるから

      君の肩を そっと掴んでいられるから


      恋人達には 秋がいい

      恋をするなら 今夜がいい 


      風は ちょっと 冷たいほうがいい

           

 

            嘘をつく僕

星の詩を 謳うのに
星の名前も知りません
花の香りを歌うのに
花の寿命(いのち)もわかりません

  窓を開けようとする君を
  もう一度傍に引き寄せながら
  「まるで オリオンの瞳・・・」と
  嘘をつく僕に
  「ラベンダ−の吐息と汗ね・・・」と
  眼を閉じる君 

夜空の星が赤面し
秋桜も俯くなかで
肌を合わせる二人さえ
秋の夜長は
詩人になれる

星も見ず
花も見つけず
詩を書き綴る
浅ましき おのれの姿にも
秋の風は 心地よい
                          

 

                         まるで 

                淡く 深まる――― 日々なのに
        蓮の野と 群青の夜空になる。
                  
        こんなに激しい色を塗ったのは
        古代に 身を焦がした神々のせいか。
                 
            吾等に 恋慕の情を真
に染めろと。

    このモノト−ンの寒空に ――――
  蓮の炎など 似合うはずはない。

  深の命など 顕れるはずもない。

  激しい恋など 出来るはずがない。

                   
       秋に 
葉 、  淡い季節に なぜの色。

       それとも

       淡く 深まる秋だからこそ 想いは 炎と燃えるというのか。

       吾等に 恋慕の情を 真に染めろと。

 

日々 変わりゆく風景と

           その殺風景さの中の 紅葉は

           朝の空気の寒暖で より艶やかになるという

           捉えどころのない 昼下がりの陽射しや

           肌を身構えさせる 夕刻の冷気は

           やがて来るべき 初冬を 充分予感させる

           
           これを 
深まり と云うらしい

まるで 恋のようで・・・・・

 

 

 

 

 

008576.gif (2991 バイト)  
君の鼓動で強くなれる  

 

 

雪が降り始めたら

           真上の空を見上げてごらん

          四方八方から 白い花びらが

          自分一人に降り注いでくるようだから

         雪が降り始めたら

           空を見上げてごらん


          君を 想いだしている

 

 

 

        冬が来る

              君の頬が 真っ赤に染まる

君の耳朶が ピンクに揺れる


僕の息が かかったから?

それとも

この刺すような 寒さのせい?


君の唇  震えてる


もうすぐ ほんものの冬が来る

 


    

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